玉砕とキスカ、そして海軍善玉論:組織は自らの失敗をどう美化するか
アッツ島の玉砕は、たいてい「兵士たちの勇気」として語られる。 潔く散った、という美しい物語だ。 だが、史料を一手ずつ追うと、別の顔が浮かんでくる。 玉砕は、現場の勇気の問題ではなかった。 上層部の戦略失敗を、思想的に処理するための装置だった。 そして厄介なのは、いったんこの装置ができると、それが同じ失敗を繰り Read more
アッツ島の玉砕は、たいてい「兵士たちの勇気」として語られる。 潔く散った、という美しい物語だ。 だが、史料を一手ずつ追うと、別の顔が浮かんでくる。 玉砕は、現場の勇気の問題ではなかった。 上層部の戦略失敗を、思想的に処理するための装置だった。 そして厄介なのは、いったんこの装置ができると、それが同じ失敗を繰り Read more
太平洋戦争の開戦は、たいてい二項対立で語られる。 狂気に走った日本と、圧力をかけたアメリカ。 どちらが悪かったか、という問いになりがちだ。 だが、開戦に至る経緯を一手ずつ追うと、別の顔が見えてくる。 どのアクターも、それぞれの立場では、合理的に振る舞っていた。 誰も全面戦争を望んでいなかった。 それなのに、全員 Read more
フレームワークを選ぶ。 アーキテクチャを決める。 そのたびに、同じ恐怖がよぎる。 後になって「あっちを選んでおけばよかった」と思うのが、怖い。 この恐怖を、判断力が足りないせいだと思っている人は多い。 もっと知識があれば、正解を選べるはずだ、と。 だが、恐れている相手をよく見ると、それは正解を外すことですらない Read more
何かに取り組んでいて、少し壁にぶつかる。 その瞬間、「この方法、間違ってるんじゃないか」と考え始める。 気づけば、手を動かす話だったはずが、方針を練り直す話に戻っている。 そして、また振り出しだ。 これを「やり抜く力が足りない」で片づけたくなる。 だが、そうとは限らない。 考える力が弱いのではなく、強すぎるのか Read more
ADRを導入しよう、と決めて、テンプレートを配る。 書き方も説明する。 それでも、なぜか埋まらない。 数週間もすると、誰も書かなくなっている。 フォーマットが悪いのだろうか。 レビューが甘いのだろうか。 そう考えて運用ルールを足すほど、ハードルだけが上がって、ますます書かれなくなる。 問題は、たぶんフォーマットの Read more
作り込まれた提案が会議に出てくる。 資料に隙はなく、想定問答まで用意されている。 反対意見は出ず、会議は静かに終わる。 合意は取れた、はずだった。 ところが後になって、別の場所で本音が漏れる。 「本当は違う案がよかった」「あの場では言い出せなかった」。 発言を封じた人は誰もいない。 封じたのは、提案の完成度そのも Read more
アメリカがいちばん恐れていたのは、イランの影響力が中東に広がることだった。 そして2003年、そのイランの影響力を決定的に広げたのは、ほかならぬアメリカ自身だった。 イラクのフセイン政権を倒したことで、イランと地続きのシーア派勢力が一気に力を得た。 それから23年。 2026年、アメリカはそのイランを叩いて Read more